学び人夏週間
「だからってあたしに報告してこなくてもいいじゃん」
まったく、デリカシーがないんだから。
本人がいないところだからまだいいけれど、他人に自分の好きな人をバラされるなんて、嫌に決まっている。
「だーかーらー。親心でちょっと協力してほしいってこと」
「はあ? 協力?」
本人たちにとっては絶対に余計なお世話だ。
松野とその飯島とやらも、自分たちのタイミングと言う物がある。
ていうか、そんな暇があったらあんたは自分の身のふりの方を考えなさいよ!
簡単に他の女に抱きつかれてんじゃないよ!
まったく。
「今朝、松野も遅れて来ただろ?」
「うん。松野“も”ってことは、飯島も?」
俊輔は嬉しそうに頷いた。
「あいつら朝から愛を育んでたみたいなんだよ」
ふーん、なるほどね。
トイレじゃなかったんだ。
重森のやつ、あの時ちょっとなにかを考えてそう言ったようだった。
きっと知ってたんだ。
「で、私にどうしろと」
「ちょっとくらいの遅刻なら見逃してやってほしいんだよ」
ちょっとくらいの遅刻ならって……。
どこまでユルいんだ、この塾は。
「……わかった。ちょっとならね」
「俺としても、生徒の幸せは喜ばしいものだしさ」
先生っぽく偉そうに語っているが、私には面白がっているようにしか見えない。
仕事はしっかりやっているという小谷先生の言葉は、私の中ではまだ信憑性を持たない。