学び人夏週間

それにしても、あの冷めた松野がねえ。

恋愛小説を素直に受け取ったのは、そういうことなのかも。

首は突っ込まないにしても、心の中で応援しよう。



国語部屋を出て、南先生の部屋へ。

軽くミーティングをした後、点呼の時間までしばし休憩。

講師同士で談笑を楽しんだり、南先生が差し入れてくれたおやつをつまんだりする。

一人でぼんやり考え事をしていると、南先生が話しかけてきてくれた。

「うちの塾には慣れましたか?」

独特の落ち着いた声。

この声のせいか、南先生が話すことには安心感と説得力がある。

「ええ、大分。うちの塾よりも学校っぽくて勉強になります」

「そうですか。それはよかった」

南先生がペットボトルのお茶を私の紙コップに注ぎ足してくれた。

それをありがたく受け取って、お茶で乾杯をする。

自然に笑顔になった。

「実はね、僕は昔高校の教師だったんですよ」

「へえ、そうだったんですか」

「お恥ずかしい話、いろいろあって生徒からの支持を得られず、担任したクラスを学級崩壊に陥らせてしまいましてね……。教師としての自信をなくして、退職したんです」

この温厚な南先生が、学級崩壊……?

想像がつかない。

南先生はお茶を一口飲んで続けた。

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