学び人夏週間

私の勤めている進学塾では、みんな何でも真剣に取り組むし、質問もバシバシ来る。

みんな一生懸命でキラキラしている。

なのに、同じ世代でこの違いは何?

わからないくせに質問はないし、合宿にまで来ているのに問題を解く気すらない。

私は頭にきて、早くも静かな教室に声を響かせた。

「二人とも、ちゃんとやる気ある?」

怒気は抑えた。精一杯抑えた。

私の声は、この狭い部屋でホワンと少しエコーがかかった感じに響いた。

二人の視線が私のほうへ向く。

すると、重森が握っていたシャープペンシルをポイっと机に転がした。

「は? やる気? あるわけないじゃん」

……は?はこっちのセリフだ。

重森の正直すぎる答えにたじろぐ。

「じゃあ、何しにここへ来たの?」

「親に無理矢理参加させられたんだよ。今年受験だからって」

生意気。クソガキ。

その受験がどんな意味を持っているか、そしてこの合宿が受験のためにどれだけ価値があるか、親がどんな気持ちで送り出しているのか、全然わかってない。

「親御さんの好意を無駄にしたいの?」

「は? 好意? 大迷惑だ。こっちは中学最後の夏休みなんだよ。もっと遊びたいんだよ。思い出作りたいんだよ」

だ、大迷惑……!


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