学び人夏週間
呆れてものも言えないでいると、松野が口を挟んできた。
「私もこんな課題、迷惑です。学校の課題が多くて、それを片付けるために参加したのに。こんなに塾の課題をやらなきゃいけないなんて聞いてません」
学校の課題?
それを片付けるため?
塾を何だと思ってるの。
「学校の課題は家でもできるでしょう? それだけをやるのなら、合宿の意味がない」
「だから、私は学校の“課題を終わらせるために”来たんです。こんな課題をやらなきゃいけないなら、逆にこの合宿に来た意味ないですよ」
そう言って松野もペンを置いた。
何? 何なの?
最近の若い子って、みんなこうなの?
ここ、本当に塾?
とりあえず、この二人にやる気がないことだけはわかった。
でも、それじゃダメだ。
しっかり勉強させないと、本当にここに来た意味がない。
アウェーであるこの塾の文化がわからない。
自分の職場だったらガッツリ怒ったりできるけど、ここで怒鳴って生徒との距離をこれ以上離すようなこともしたくないし……。
ああ、もう。
やっぱりこんなバイト、引き受けるんじゃなかった。
耳の中を駆け回るようなセミの声が、このストレスを増幅させる。
可愛くない。
マジで可愛くない。
一年ちょっと塾講師をやってきたが、これほどに可愛くない生徒は彼らが初めてだ。