そのコップは空(ソラ)だった。
「そのコップはソラだったぁ?」
『"カラだった"だよ。なんでコップがあたしなのよ。』
ソラはおかしそうに笑う。
相当、俺の言動にツボに入ったらしい。
「ほら…あれだよ、えーっと…
ソラが使う専用のコップ…みたいな?」
『言い訳が苦しいですねぇ~♪』
さっきまで数学に嘆いていたソラが
楽しそうに笑う。
その顔を見て俺はホッとするが
ちょっと照れ隠ししてしまう。
「しょうがねぇーじゃん。
俺が勉強苦手なの知ってるだろ?」
『アハハ。"そのコップはソラだった"♪』
「なんだよぉ。なんか文句あるのか?」
『ううん。』
ソラは笑うのをこらえて
小さくほほ笑みこう言った。
『なんとなく何かのタイトルみたいだったからさ。』