吸血鬼と紅き石
「フン、逃げたか」

賢明な判断だと男が笑う。

どうせ何の力も持たない、弱いあの姿。

自分がわざわざ力を揮わなくても勝手に消える。とザーディアスはその小さな光を追う事もなく見逃した。

その様子にリイエンは男にターニャが消されなかったと安堵する。



フワ、フワリ。

空間を抜け、時空を泳ぐ魂魄の小さな輝きに誘われるように小さな光はひとつ、ふたつと数を増し。

チカリチカリと瞬くとそれを合図とするように、揃ってただ一人の元を目指し時空を越えた。



< 170 / 263 >

この作品をシェア

pagetop