アオイハル
「先輩じゃなかったら、誰に渡すの?」



キッチンに向かいながら、梨香は興味津々に聞いてくる。



梨香の興味はローザリーの契約よりも、手作りのお菓子を渡す相手…らしい。



「この前、クッキーあげた人。

また食べたいって言ってたから…。」



紫宝院様の名前は、出せない。



彼のことは、梨香に…ううん、誰にも話すわけにはいかない。



「相手は男子…で、好きになっちゃった?」



梨香に図星を指されて、何も言えなくなった。



「聖愛さんの好きな人、知りたいなー。」



私も小柄だけど、それよりほんの少しだけ背の低い梨香が、可愛い上目づかいで私を見る。



「どうせ叶わない夢だし…ってか、その上目づかいはもっと別のことに使ったら?

梨香さんにお願いされて言うこと聞かない男性、いないんじゃない?」



私でも言うこと聞いてしまいそうな表情から目を逸らそうとした時、梨香の顔がみるみるうちに真っ赤になった。



「そ…そっかな?

言うこと、聞いてくれる…かな?

あぁ、でも気まずくなったら嫌だし…。」



梨香は真っ赤な頬に両手をあてて、ああでもないこうでもないとブツブツ呟く。



梨香、もしかして…。





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