恋戦(コイイクサ)
「さ、触るの?」

目の前にある新堂くんの腕を視界に入れ、戸惑いながら秋武くんに確認する。

「そうだよ。ほら」

そう言われて、躊躇いなく触れる訳がなかった。

恐る恐る手を伸ばすが、なかなか触れることはできない。

そんな私に苛々するのか「早く!」と急かす瑠璃と秋武くん。

私がその腕に触れるまで、延々と続きそうなやり取りに、私は覚悟を決めて手を近付けた。

日に焼けた腕は私の物とは全く違い、男の子特有のガッチリした腕だった。

そっと指先で触れると真夏にも関わらず、さらりとした触り心地だ。

瑠璃と秋武くんは、私が触れた所を穴が開きそうな程見ているが、新堂くんの腕を見つめていたのは二人だけではなく、新堂くん本人も自分の腕を食い入るように見つめている。

「………」

私が声も出せずにそんな三人の様子を見ていると、「ごめん。もう一回触ってくれる?今度はもう少しゴシゴシと」その顔からすっかり笑みを消した秋武くんが言った。



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