恋戦(コイイクサ)
その予感は外れることなく、19時になる五分前、家の前で迎えを待つ私の前に、新堂くんが姿を現した。

「暑いね」

まだまだ明るい19時。

今日和なのか、今晩和なのか。きっと今晩和で正解なのだろうけど、迷った私が新堂くんに言った言葉は『暑いね』だった。

予感が当たって嬉しい所為か、それとも昼間のお姉ちゃんの会話の所為なのか。

私は小さく笑みを零してしまう。

「行くぞ」

そんな私を気にすることなく、新堂くんは目的の場所へ向かおうとする。

いつもの様に並んで歩こうと、数歩前の新堂くんの所まで私は歩みを進めた。

いつもと同じ歩調で、いつもと同じ新堂くんの右側。

何もかもいつもと同じだと思っていた時、

「ほら」

すっと差し出されたのは、新堂くんに右手だった。

その瞬間、いつもと同じだと思っていた新堂くんの右側が、いつもと同じモノではなくなった。

「………」

その手を取って良いものか…。

悩む私に「たまには彼氏と彼女らしくしないとな」と新堂くんは驚きの発言をした。




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