恋戦(コイイクサ)
駅までの道のりはオレンジ色だった。

真夏の陽はまだ沈みそうになかったが、少し急ぎ足で進んでいく人たちと同じく時は流れ、黄昏がもうそこまでやって来ていた。

陽はまだまだ落ちないと思っていても、世界が茜色に染まってからは、あっという間に薄明となり、夜が訪れるのだ。

ふと前を歩く二人組みが目に入った。

夕焼けに照らされた二人組みは、その雰囲気だけで“彼氏彼女”なんだと思った。

仲良く手を繋ぎ、何度となく見詰め合う。

同じ様に手を繋いでいる私と新堂くんだが、あの二人の様に“彼氏彼女”に見えるのだろうか…。


「ねえ、新堂くん」

突然呼びかけた私に「何だ?」と返事が返ってくる。

問いかければ返答のある距離に私たちはいるが、前を歩いている二人のような関係では、きっとない。

「アレルギーが治ったらどうするの?」

「……?」

「何か、したい事があるの?」

「………」

私は前を見据えたまま、新堂くんに聞いた。




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