恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~






「ふぁぁ~・・・」



ホテルの従業員ロッカーの前でであくびをする。




「何?小春があくびなんて珍しいじゃん?」


「あ、保谷さんおはようございます。」


振り返りいつもの笑顔をする。

保谷さんはいつも以上に元気な様子だった。


保谷さんはロッカーの鏡を見て顔をチェックする。


「ううーん、今日はちょっと化粧濃すぎだったかなぁ?どう小春?」


顔を見ると少々濃い気が。


「そうですか?ってか保谷さんいい事あったんですか?」


「えっ♪バレた~??」


保谷さんは分かりやすい。

服装や髪形、化粧などに表れる。



「この間の結婚式でさぁ~・・・っと昼休みに話すわっ」




結婚式・・・とは先生と再会した時の結婚式の事で。


私の心は敏感で、一瞬動作が止まってしまった。



制服に着替えるが最後の襟元のリボンが上手く付けられない。

動揺して少し手が震えるせい。



「楽しみにしていますね。」

私は、気を持ち直してほほ笑んだ。




心の中では

先生以外の事だったらと願った。








< 139 / 144 >

この作品をシェア

pagetop