夢みる蝶は遊飛する

その数ヶ月後、私が中等部を卒業してすぐ、父から封書が届いた。

中には、緑の枠が印刷された薄い紙が一枚入っていた。

離婚届。

既に父の分は記入してあり、捺印もされていた。

そのときに悟った。

父はもう、私たちのもとへ戻ってくるつもりなどないのだと。



それから私は高等部に進学して、バスケ部のマネージャーになった。

どうしても、バスケから離れることはできなかった。

バスケを完全にやめたら、父との繋がりがすべて断たれてしまう気がして。

マネージャーという、サポートをする側でバスケに関わることは、私にできる精一杯の悪あがきだった。

いくら尽力しても形にも記録にも残らないその役職。

無力な自分に何度も失望し、気が利かないと何度も叱責され、それでも辞めるという選択をしなかったのは。

膝の痛みがぶり返し、安静にと医師から言われてもなお、一度も部活を休まなかったのは。


すべて、もう一度幸せを掴むためだった。


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