夢みる蝶は遊飛する
「雪、降らないかな」
灰色の空を見上げて、白い息を吐いた。
「降るかもしれないわね」
沙世も白い吐息に言葉をのせた。
「積もったら雪合戦したい」
「寒いから嫌」
雪がたくさん積もったら、雪合戦をしてみたい、と私は幼い頃からずっと思っていた。
けれどこの沙世の即答ぶりからして、その夢はどうやらまだ叶いそうにない。
今朝は寒さで目が覚めるほど冷え込んだ。
今も、まだ昼の名残が残っているような時間なのに、頬や耳は切れるように痛む。
ケーキの箱が傾かないように注意をしながら、マフラーを巻き直した。