夢みる蝶は遊飛する

「沙世はよく須賀くんの家に行くの?」


迷わず足を進める沙世に訊ねる。


「小学生の頃は行ってたけどね。さすがに、今はもう全然。あ、そこ曲がって」


私の家に向かうような道順で、けれどそれより二つだけ手前の角を曲がり、そうして着いたのが須賀くんの家だった。

この町へ来て初めに思ったのが、どの家も大きいということだ。

そして御多分に漏れず、彼の家もそうだった。


広い敷地に庭と車庫が大きくスペースをとっており、それが建物以上の面積の割合を占めている。

東京での庭付き一戸建てといえば、庭は猫の額ほどの広さしかないのに。


かつて住んでいた東京の家を思い出し、それからもう一度須賀くんの家の全体を眺めてからチャイムを鳴らした。

もう売ってしまったあの家には、今はどんな人が住んでいるのだろうと思いながら。


家に染み込んだ思い出が塗り替えられていく。

それはとても、寂しいことだと思った。


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