夢みる蝶は遊飛する
暖房がよくきいたリビングはとても心地よくて、じんわりと身体が温まっていった。
須賀くん、ヒロくん、それから須賀くんの母親である佳奈子さんが出迎えてくれた。
佳奈子さんと会うのは、最初に私の家で会ったあの一度きりだ。
あれからも何度か来ているらしいけれど、私と会ってはいなかった。
「お邪魔します」
お久しぶりです、と言ってケーキの入った箱を差し出した。
「あら、ケーキ? 冷蔵庫に入れなきゃね。あ、その前にちょっと見てもいい? 手作りなんでしょ?」
佳奈子さんはそう言って目をきらきらと輝かせた。
須賀くんとヒロくんも、興味津津といった様子でこちらを見ている。
「いやあの、ケーキは・・・ひ、秘密兵器だからダメですっ」
沙世が慌てて箱を開けようとする手を押さえた。
つづりの間違ったメッセージを見られまいと必死で、よくわからないことを口走ってしまっている。