夢みる蝶は遊飛する

「兵器ってなんだよ?」


須賀くんが怪訝そうに問う。


「へ、兵器? 兵器ってなにって、あの・・・もちろん兵器じゃなくて・・・」


しどろもどろになる沙世を、ヒロくんは面白そうに眺めている。

まるで、なぜ沙世がケーキを見せないようにしているかを知っているかのように。


誤魔化すために、私は声を上げた。


「あ、ツリー飾ってるの?」


近寄ってみると、それは私の身長よりも少し低いくらいの、なかなか大きなクリスマスツリーだった。

いろいろなオブジェが吊り下げられ、雪に見立てた綿で飾られ、カラフルなモールが巻きつけられている。

けれどまだ、飾りが箱に残っている。


「そう。なんか足りないって思ってて、ツリーがないって気づいて慌てて引っ張り出したんだよね」


一番上に飾られた星に指で触れる。

冷たいけれど、あたたかい。


「綺麗だね」


そう、私は微笑んだ。

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