夢みる蝶は遊飛する


「やだ、こんな時間。もう行かなくちゃ」


慌ててコートを羽織って、佳奈子さんは出ていった。



「父さんと待ち合わせしてホテルディナーだってさ」


その後ろ姿を見送りながら、須賀くんが言った。

弾けるような笑顔で手を振っていたことを思い出して納得する。


「わざわざ家を空けてくれたの?」


私のその言葉に、彼は緩く首を振った。


「もともと、毎年クリスマスは二人で楽しんでるから、うちの親」

「毎年俺はひとりぼっちで寂しいって泣いてたんだよねー」


ヒロくんがからかうような悪戯な顔で須賀くんの首を締めるように腕をまわす。

身長差があるぶん、須賀くんはのしかかられるような体制になって苦しそうだった。

その姿を沙世が面白そうに携帯電話で撮影している。



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