夢みる蝶は遊飛する
けれど、私と三人の間には、目には見えない薄い幕のようなものが下りてきて、私は向こう側にはいけなくなってしまう。
皆には当たり前に両親がいる。
けれど私にはいない。
一瞬で目の前が暗くなる。
私の両親は、もう二人で出かけることも、食事に行くことも、同じ景色を見ることもできないのだ。
物理的には、どうやっても。
不公平だ、と、いつもは存在すらも信じていない神に言いたくなる。
どうしてすべての人間を、同じ条件で同じように生かさないのか。
どうして同じだけの時間を与えてくれないのか。
どうして同じだけの喜びと悲しみと、幸せと不幸を、平等に与えないのか。
だから、神などいない方がいい。
その存在を信じてから感じる絶望は、きっと耐えがたいものだから。
私は痛みを、傷を、過去を乗り越えられたわけではない。
なにも知らない少女のように笑えるようになったわけでもない。
私の心を深くえぐった過去はたしかに存在していて。
それが消えてなくなったのではない。