夢みる蝶は遊飛する

「まず、最初の二行ね」


そう言って顔を上げると、彼の顔が思いのほか近くにあって驚いた。

一枚のカードを二人で覗き込んでいるのだから、それも当たり前なのだけれど。



「ヨーロッパ、青、白い十字。これでなにか思い浮かばない?」


彼は思いをめぐらせるように眉をひそめ、肩にのせたクマを抱え直した。


「え、全然わからない」


それでも思い当たるものはなかったようだ。



「じゃあ、青地に白い十字を思い浮かべてね。それはヨーロッパのなんていう国の国旗かわかる?」

「え、あー・・・あの、見たことがあるような・・・・。
あ! あれだ、フィンランド!」


昨日世界の国旗一覧を見たばかりだから、覚えている。

彼が思い浮かべた国旗が、どこの国のものかなんて。

私だって、青と白に気を取られていて見間違えそうになったのだから。

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