夢みる蝶は遊飛する

そうすれば、近づける気がした。

どこかよそよそしい態度じゃなくて、全部をぶつけてほしかった。

私はきっと、それを受け止められるから。


対等でありたかった。

けれどいつも天秤はどちらかに傾いていて、私の思い描く関係は作ることができなかった。

その苛立ちは、静かに、淡々と積もっていた。

それが崩れた結果だ。


私は異常に自分を卑下しながら周りも見下すことで、均衡を保ちながら悪い方向へと転げ落ちていたのだ。

あまりにもなにもかも抱え込みすぎたがゆえの、惨めな結末だった。




けれど、次に私の鼓膜がとらえたのは。


「ほら、ちゃんとわかってるじゃない、自分の価値」


ふわりと揺れる、優しい言葉だった。

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