夢みる蝶は遊飛する
「あなたには経験があるの。それは誰にも負けないようなものなんでしょう?」
自画自賛のようだと思って一瞬ためらったけれど、頷いた。
これは誇っていいものだ。
私が、かつて掴んだ栄光は。
「だったらそれでいいじゃない。あなたの価値は、ちゃんとあなた自身がわかっているんだから。
誰になにを言われても、それはあなたの価値を知らない人間の発言だからと割り切ればいいわ。そうすれば傷つかない。鈍感になることも大事よ。
あなたの価値は、あなただけが知っている秘密にしておくのもいいんじゃない? もし、なにか言われることに耐えられなかったら、切り札として使ってもいいし」
「でも、その経験を笠に着て黙らせるのは、ずるい気がして・・・・」
だから私は、今まで言わずにやってきたのだ。
これまで私が女バスの方でプレイに関する意見を出しても、それは一バスケ経験者でマネージャーの意見として扱われてきた。
だから却下されることも、多くはないけれどあったのだ。
けれど、私がバスケで全国の頂点に立った人間だと知ったら。
私の意見は、問答無用で絶対的なものになってしまうかもしれない。
それを危惧していたのだ。