旦那様は社長 *②巻*
「もしも全グループが倒産に追い込まれたら、ものすごい負債を抱えることになるから。『お前は光姫さんにまで苦労させる気なのか!』って怒鳴られてばっかだったよ」
ハハっと笑いながら、ワイングラスに手を伸ばし口に含むと、敬吾は話を続けた。
「でもオレは光姫のことどうしても諦められなくてさ……最悪な状況になることが分かっていても、別れるなんてできなかった」
「じゃあどうして……」
敬吾の話は矛盾してる。最悪な状況になったとしても別れられない?
でも実際はあたしの前からいなくなった。
何も告げることなく……突然消えたじゃない。
「どうして突然いなくなったのか……ってことだろ?」
「だって結果的に敬吾はあたしの側からいなくなって、結婚だって白紙に戻った。
……今敬吾の言ったこととはまるで違うわ」
これだけは断言できる。
当時、日出物産の話を聞いていたとしても、迷うことなく敬吾と歩む未来を選んだはず。
地位やお金なんて興味ない。敬吾の苦しみを、あたしも一生一緒に背負っていこうと覚悟したと思う。
敬吾が『ついてきてくれ』と、たった一言言ってくれていたら……
あたしは喜んでどこまでもついていったよ?
ーーー…だって。
敬吾を愛する気持ちは、ホンモノだったから。