旦那様は社長 *②巻*
美海さんは、コーヒーとグレープフルーツジュースを頼んだ後、再びあたしに向き直って続けた。
「普通は奥様のためとはいえ、副社長を側近にしたりしないわよ」
「やっぱりそう思う?」
「もちろん!でも良かったわねぇ。有能な助っ人で」
「うん…まぁ…ね……」
歯切れの悪い返答に、美海さんが首を傾げる。
「何か問題でもあるの?」
「問題っていうか……元婚約者なの……」
美海さんは目をぱちぱちさせながら、一生懸命その言葉の意味を理解しようとしていた。
そして待つこと数十秒。
彼女はとんでもない答えに行き着いた。
「ええっ!?じゃあ、あの副社長が元婚約者なの!?」
「ええっ!?ち、違うよ!!そうじゃなくて、副社長の秘書の方……」
藤堂さんが元婚約者なら、あの悠河があたしの監視役に彼を指名するはずがない。
「なんだ。びっくりしたー……」
「うん。あたしも」
2人して顔を見合わせながら、「あはは」と笑ってしまった。
「だけどそのこと、有栖川社長は知ってるの?」
「……言ってない」
「そう」
たった一言そう呟いた後、美海さんは視線をテーブルに落とした。
「やっぱり、ちゃんと言っておくべきだと思う?」