旦那様は社長 *②巻*
「うーん……難しいわね。もしかしたら言っておいた方がいいかもしれないし……そうじゃないかもしれない」
キレイな顔の眉間に少しシワを寄せながら、美海さんは「うーん」とうなり続ける。
だけど分かる、美海さんの言っていること。
言えば、悠河はきっといい気はしない。
それがいくら過去の話でも、目の前にその人がいれば話は別。
あたしだってイヤだから……悠河の昔の恋人と同じ職場で顔をあわせるなんて。
何も知らない方が幸せな時もある。
だけど、何も知らせずに、何かのキッカケで悠河が事実を知ってしまったら?
敬吾から話すことはまずないけれど、キッカケなんて分からない。
もしそうなら、悠河はどう思うだろう?
考えただけで、胸が痛くなってきた。
たぶん、美海さんも同じことを考えているはず。
「あたしなら……」
「え?」
「あたしなら話しちゃうかもしれない」
ーー…話す?
言葉が出なくて美海さんをただ見つめていると、タイミングよくコーヒーとグレープフルーツジュースが運ばれてきた。
音をたてることなく静かに置かれるカップとグラスに視線を移しながら、理由を考えるあたし。
ウェイターが去ってしばらくすると、美海さんがさっきの続きを話し始めた。
「どちらにしても、相手が傷つくことに変わりはないから」