旦那様は社長 *②巻*
「え……」
「事前に知らされても傷つく。知らなくて何かの拍子に偶然知ったら……やっぱり傷つく」
「うん」
「あたし思うの。知らない方が幸せなことって確かにあるけど、だけどそういうことって自然と知られてしまうものじゃない?」
その言葉を聞いてハッとした。
確かにその通りだと思ったから。
相手のために黙っていたことも、けっきょくは本人に知られてしまって、関係が拗れてしまった経験があたしにもある。
「不思議よね……例え相手のためを思ってしたことでも、結果的に深く傷つけてしまうことになる。もちろん自分も」
思わずグラスを持つ手に力が入った。
あたしが今悠河に黙っていることは、本当に悠河のためなのかな?
ただ、あたしが知られたくないだけなんじゃないかな……。
ズルイあたしが……
そこにいるからなんじゃないかな……。
「紙一重よ、きっと」
ギュッときつく目を閉じたあたしに、おそらくそんなあたしの胸のうちを読み取ってしまった美海さんが優しく言った。
「相手のため、自分のため……どちらもウソじゃない。それが普通の人間だと思う」
「美海さん……」
「それなら、どうせ傷つけてしまうなら、自分の口で真実を伝えたいな……あたしは」
「……」
「全部話して、もう過去のことだって言い切る!」
「もし、余計に不安にさせたら?」
「『不安になったら何度でも聞いて!』って言う。……それしかできないから」