旦那様は社長 *②巻*

光姫にも打ち明けられない、ずっと胸の中で燻っている不安を打ち明けた。

オレはあの日、見てしまったんだ……。

光姫が『大学時代の女友達に会った』と、ウソをついて帰宅が遅かったあの日。


接待の帰りに通りかかったロイヤルホテルの前で、運悪く車が信号待ちをしていた時……

何気なくフッとホテル側に目を移したと同時に、ある光景に目が釘付けになった。


『え……』


自分にとって、思わず声が出てしまうくらいの衝撃。


『ん?何かあったか?…って、アレ……』


後部座席で隣に座っていた慎也も、オレの視線の先に見つけてしまった。


『光姫ちゃんと……佐倉?』


2人がホテルの前で抱き合っている姿を。


一瞬で目の前が真っ暗になった。

気づいていたから……。


佐倉敬吾が、光姫の元婚約者であるということに。


以前、光姫は話してくれた。

昔、自分には婚約していた男がいたと。

名前までは明かさなかったが、新婚旅行の夜に寝言で『ケイゴ……』と呟き、涙を流していた光姫を見てしまった。


今でも夢に見てしまうくらい、ひどい別れ方をしたのか……。

今でも夢に出てきてしまうくらい、愛していた男だったのか……。


色んな思いが交錯して、胸がギュッと締め付けられた。


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