旦那様は社長 *②巻*
そして光姫の妊娠が分かった矢先に、オレたちの前に現れたアイツ。
慎也の秘書として、初めて会ったその男は『佐倉敬吾』と名乗った。
『ケイゴ……?』
忘れかけていたその名前が、ゆっくりゆっくり思い出されて。
佐倉の視線が、光姫に一直線に向いていることに気づいた。
胸がドクンと音を立てて、急激に鼓動を加速させていく。
そして光姫も……
吸い寄せられるように佐倉敬吾を見つめていた。
その瞬間、確信したんだ。
この男が、あの『ケイゴ』であるということを。
それからオレは、どんどん余裕をなくして……。
いや、もともと光姫に関して言えば、余裕があったことなんて一度だってない。
だけど、今回は今まで以上に不安が募った。
光姫は今、オレだけを愛してくれている。
それに、お腹には2人の子供だっている。
今さら、オレから離れていったりしない……。
何度も何度も自分にそう言い聞かせて、光姫に問いただすようなカッコ悪い自分にならないように、いつも心の中の緊張の糸をピンと張っていた。
だけどあの時、光姫がウソをついたから……。
『友達って女?』
事実を知っているくせに、最低だけどカマをかけたオレに
『当たり前じゃん!!』
と、笑って言い切った。
堂々とウソをつかれたことが、あの時のオレにはものすごく堪えた。