旦那様は社長 *②巻*
「……え?」
「事情が分からないのでいい加減なことは言えませんが、本人に確認すべきでは?」
「……」
「ふたを開けてみたら、案外何でもないことかもしれませんよ」
「そうでしょうか……」
今のオレには、ただの慰めにしか聞こえない。
抱き合う行為は……何でもないことじゃないだろう。
ここは外国じゃないんだから。
「そんなに悩む必要ないと思いますよ」
「どうして……」
「気づきませんでしたか?あなたを切なそうに見つめる奥様の目。……そこにどんな感情が存在するかなんて、誰が見ても分かります。もっと信じてあげてもいいんじゃないですか?」
一條社長は、男のオレでもドキッとしてしまうくらい、優しく柔らかく笑った。
もっと信じて……か。
一瞬、昨日の光姫の泣き顔が頭に浮かんだ。
公私の区別をキッチリつけたがる光姫が、社長室で初めて私情を持ち込み泣きわめいた。
そこまでアイツを追い込んでしまったのは、最低最悪な夫。
……オレだ。