旦那様は社長 *②巻*
「不安は、相手を愛しすぎている証です」
「あ、愛し……?」
どうしてこんなに自然に他人に言えるんだ。
『愛してる』なんて。
聞いているこっちがドキドキさせられる。
「どうでもいい相手のことで、不眠症になるくらい悩んだりしないでしょう?」
おそらく、オレの目にくっきり現れているクマのことを言いたいんだろう。
さすが敏腕社長。
素晴らしい観察能力と推理力だ。
「不安も嫉妬も、相手を強く想うが故です。こんなにカッコ悪い自分になるくらい、がむしゃらに求められる相手がいること、誇りに思えませんか」
「……」
「お互い、それだけいい女を捕まえたということですよ。幸せな感情です、不安も嫉妬も。それだけ夢中に愛せる、世界中でたった1人の存在が、すぐ側にいるってことなんですから」
……惚れた。
目の前のこの男に。
一條財閥とか社長だとか、そんなもの全部抜きにして、目の前にいるただの『一條海里』に、男として惚れた。
今のオレの心に渦巻く不安や嫉妬、醜い感情としか思えなかった。
光姫にはぜったいに見せたくない、気づかれたくない……そう思っていた。