旦那様は社長 *②巻*

「不安は、相手を愛しすぎている証です」


「あ、愛し……?」


どうしてこんなに自然に他人に言えるんだ。

『愛してる』なんて。


聞いているこっちがドキドキさせられる。


「どうでもいい相手のことで、不眠症になるくらい悩んだりしないでしょう?」


おそらく、オレの目にくっきり現れているクマのことを言いたいんだろう。

さすが敏腕社長。

素晴らしい観察能力と推理力だ。


「不安も嫉妬も、相手を強く想うが故です。こんなにカッコ悪い自分になるくらい、がむしゃらに求められる相手がいること、誇りに思えませんか」


「……」


「お互い、それだけいい女を捕まえたということですよ。幸せな感情です、不安も嫉妬も。それだけ夢中に愛せる、世界中でたった1人の存在が、すぐ側にいるってことなんですから」



……惚れた。

目の前のこの男に。


一條財閥とか社長だとか、そんなもの全部抜きにして、目の前にいるただの『一條海里』に、男として惚れた。


今のオレの心に渦巻く不安や嫉妬、醜い感情としか思えなかった。

光姫にはぜったいに見せたくない、気づかれたくない……そう思っていた。


< 248 / 409 >

この作品をシェア

pagetop