旦那様は社長 *②巻*

だけど、それを一條海里は『幸せな感情』だと言う。

その意味が、同士のオレには分かる気がする。


不安も嫉妬も、生まれて初めて女に抱いた感情。


こんなに欲しいと思った女に生まれて初めて出逢った。


他の誰にも見せたくない……触れさせたくない。

生まれて初めて独占欲を知った。


夜抱き締めて眠る間、腕の中でほんの少し光姫の身体が動くだけで目が覚めるオレ。

『オレを置いて、どこかに行ってしまうんじゃないか』

そんな不安に支配される。


光姫と出逢うまで、自分には絶対的な自信を持っていたくせに、今は余裕のカケラもない。


自分は『特別』なんかじゃなく、ただの男なんだということを思い知らされた。


全部、光姫に出逢っていなければ知り得なかった感情。

全部、光姫が教えてくれたオレの『初めて』。


機械のように生きてきたオレに、光姫はたくさんの感情を与えてくれた。

例えるなら、オレはピノキオで光姫が女神……ってところだろうか。


冷えていた心に少しずつ暖かい光がさして、幸せな笑みが溢れるのを止められなくなった。



「いい女……か」


「え?」


「まいったな……」


「は?」


不思議そうに瞬きを繰り返す彼に、堂々と笑ってこう告げた。



「オレのいい女、今すぐ抱きしめたい」


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