旦那様は社長 *②巻*
今すぐに。
力一杯抱きしめたい。
光姫も赤ちゃんも、まるごと全部。
「…ぷっ。あはははははは!!」
目の前で、突然脇腹を抱えて笑い始めた今日の主役に、会場の視線が一気に集中した。
おいおい……。
「一條社長、目立ってます。……オレたち」
何で笑っているのかなんて、周りはきっと誰一人として気づいていないはずだが、当事者としてはやっぱり恥ずかしい。
居たたまれなくなって不意に目をそらすと、オレに言われた通り、営業中の慎也と目があった。
一瞬ニヤリと笑ったのは気のせいじゃない。
アイツ……。
アイツだけは、きっと今のオレの状況を分かってる。
悔しいけれど。
軽く睨みをきかせ、一條社長に視線を戻すと、やっと笑いが収まったらしい彼が言った。
「すみません、笑ったりして。だけど、あまりにも気持ちの転換が早くてつい……」
肩を震わせて笑いを耐える彼に、軽く咳払いをして照れを誤魔化した。
確かに、彼の言う通り。
あんなに悩んでギクシャクしていたくせに、この気持ちの切り替わりようは何だ?
オレにとって、ものすごく大きな問題だったはずなのに、今では何でもないことに思える。