旦那様は社長 *②巻*

今すぐに。

力一杯抱きしめたい。

光姫も赤ちゃんも、まるごと全部。


「…ぷっ。あはははははは!!」


目の前で、突然脇腹を抱えて笑い始めた今日の主役に、会場の視線が一気に集中した。


おいおい……。


「一條社長、目立ってます。……オレたち」


何で笑っているのかなんて、周りはきっと誰一人として気づいていないはずだが、当事者としてはやっぱり恥ずかしい。


居たたまれなくなって不意に目をそらすと、オレに言われた通り、営業中の慎也と目があった。

一瞬ニヤリと笑ったのは気のせいじゃない。


アイツ……。

アイツだけは、きっと今のオレの状況を分かってる。

悔しいけれど。


軽く睨みをきかせ、一條社長に視線を戻すと、やっと笑いが収まったらしい彼が言った。


「すみません、笑ったりして。だけど、あまりにも気持ちの転換が早くてつい……」


肩を震わせて笑いを耐える彼に、軽く咳払いをして照れを誤魔化した。


確かに、彼の言う通り。

あんなに悩んでギクシャクしていたくせに、この気持ちの切り替わりようは何だ?


オレにとって、ものすごく大きな問題だったはずなのに、今では何でもないことに思える。


< 250 / 409 >

この作品をシェア

pagetop