旦那様は社長 *②巻*
カッコつけて、慎也にすらまともに話せず1人悩んでいたのに、一條社長がまるで魔法のようにオレの心の氷を一気に溶かしてしまった。
信じられないくらい、身体の芯からポカポカと温かい。
オレよりも若い彼に、今日大切なことを気づかされた。
「もう少しで、オレ自身の幸せをオレ自身で壊してしまうところでした」
今光姫と向き合わなければ、もう取り返しのつかない、後戻りできないところまでいっていたかもしれない。
オレを突き動かす原動力。
誰も代わりにはなれない。
誰よりも……自分よりも大切な存在。
そんな世界にたった1人だけの特別な彼女を、もう少しで自ら手離してしまうところだった。
久しぶりに溢れたオレの心からの笑顔を見て、一條社長も満足そうに微笑んだ。
「今話してくれたこと、今日ちゃんと奥様に話して下さいね」
「えっ、今日!?」
「もちろんです。……でなければ、今大切なことに気づいた意味がないでしょう」
「いや…しかし……」
「言えないなら、仕事のパートナーにはなれませんね」
「ええッ!?」
「当然です。愛妻家ですから、オレ。自分の妻も幸せにできない男に、心あるいい仕事なんかできませんよ」