旦那様は社長 *②巻*
「……」
「……」
気まずい。
この場にいるのが辛い。
何でオレは、あんな子供だましのウソを見破れなかったんだろう。
遡ること、30分前……
『……え』
電話を切ってこちらに向き直った一條社長から、直感的に感じ取ってはいたんだ。
イヤな予感を。
あの無邪気な笑顔を見ておきながら、その後の言葉をよく信じて疑わなかったもんだ……。
きっと病気なんだな、オレ。
それも、かなり重度の『光姫病』ってヤツだ。
『大変です!!今美海から電話があって、奥様が腹痛を訴えて倒れられたそうです!!』
『え!?……光姫は!?光姫は無事なんですか!?』
『お、落ち着いて下さい!!意識はあるみたいなので、部屋をとって休んでもらってます』
『すみません、オレ行きます!!』
『あッ、部屋は最上階です。美海がエレベーターの前で待ってますから』
『ありがとうございます!!』
会場を飛び出し、エレベーターの前でボタンを押すも、こんな時に限ってなかなか来ない。
光姫の身体が心配で、無我夢中で階段をかけ上がった。
20階から42階まで。