旦那様は社長 *②巻*
最上階に着く頃には完全に酸欠状態だったのに、不思議と足は止まらなかった。
正しくは、止まれなかった。
光姫とお腹の赤ちゃんに何かあったのかと思うと、心臓が鷲掴みされたみたいに痛くて、身体が勝手に光姫のもとへと急いだ。
そしてエレベーターの前で美海さんを見つけた瞬間、大声で叫んでいた。
『美海さん!!』
『え……、階段!?』
ものすごい勢いで階段をかけ上がってきたオレに、美海さんは目を見開いて驚いていた。
だけど、今はそれどころじゃない。
『光姫は…光姫はどこに!?』
『え?あッ、あそこに……』
指差す先の部屋に駆け寄ろうとした時、美海さんに呼び止められた。
『有栖川社長!!』
『はい?』
『光姫さんを1人にしないであげて下さい』
『え……』
『初めての妊娠は、ただでさえも不安なんです。……いつでも光姫さんが安心して頼れるように、側を離れないであげて下さい』
『美海さん……』
『光姫さんが頼りたいと思えるのは、世界中でただ1人……有栖川社長だけなんです』