旦那様は社長 *②巻*
楽しそうな会長と相反するように、あたしの心は沈んでいく。
あたしは手のひらの巻物に再び視線を落とした。
これが全部…有栖川家のしきたり…。
ーーこれ全部。
あたし…とんでもない家に嫁いじゃったのかな。
よく考えれば。
もともと常識外れな有栖川家だもん……こんなしきたりがあったって不思議じゃないよね…。
でも……
子供のことは……
あたしはギュッと唇を噛み締め、会長に思いの丈をぶつけた。
「会長。いくらしきたりでも…私は今すぐ子供を作る気はありません」
ただ真っ直ぐ会長を見つめながらーー。
「…どういうことかね?」
会長は少し険しい表情に変わりながら、あたしと社長に尋ねる。
「会長。今光姫が申し上げた通りです。このしきたりも、今の時代にはもう合いません。 私たちは今はまだ…2人の時間を大切にしたいんです」
あたしの手を
ギュッと握りしめながら、社長があたしの代わりに口を開いた。