旦那様は社長 *②巻*
「会長。私と社長は最近やっと本当の夫婦になったんです」


ここに来るまで、色んなことがあって……
たくさんすれ違ってきたあたしたち。


「だから、もうしばらく２人の時間を下さい。

……それに……」


「それに？」


「………」


あたしは少し俯いた。


有栖川の人間として知らなきゃいけないことがありすぎる。


……しきたりだって。


もっと他にも、あたしの常識を越えた何かがあるはず。


「会長。光姫は…まだ知らないことが多すぎます。有栖川家のこと、それに彼女にはこれから私の妻として、公の場に立つことも増えます。彼女には…負担が増えることばかりです」


最後は弱々しい声に変わった社長。


“負担が増える”

という言葉と同時に、握られた手の力が更に強まった。


きっとこれは……

社長なりのあたしへの配慮なんだと思う。



社長の言う通り。

あたしは今…何も知らない…ただの秘書にすぎないのだから。



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