旦那様は社長 *②巻*
でも会長は。
「それは無理じゃ。歴代の嫁も皆同じ条件のもとしきたりを守ってきた。光姫さんだけ特別扱いはできん」
珍しく少し険しい表情で一喝した。
それは、今まで見たこともないくらいの鋭い目線で。
この時初めて、この人が長きに渡り…今も有栖川のトップに君臨している人間なんだと思い知らされた。
おふざけの過ぎる、
ただのエロじいさんかと思っていたけど…
そんな人間がいつまでもトップに立てるわけがないよね。
やっぱりこの人は
有栖川の会長…なんだ。
無意識のうちに、ギュッと社長の手を握り返していたあたし。
…とにかく…怖かった。
何も知らずに嫁いできた自分が情けなくて。
これから……
どんどん奪われていくかもしれない“自由”
有栖川の嫁という
“重圧”
これらにあたしが耐えていけるのかーー…
いっそのこと、
有栖川を追放されたほうがあたしのためなんじゃないか……なんて。
そんなことさえ頭に浮かんだ。