旦那様は社長 *②巻*


でも……。


今更そんなことできるわけない。


だってあたしはもう……
社長のこと……



「光姫さん」


「…っ?!…はいっ…」


つい、会長の声に過剰に反応してしまう自分がいる。


「光姫さんは悠河の子を生みたくないということか?」


「ち、違います!!愛する人の子供です…生みたいに決まっています…」



ーー生みたいよ。


生みたいに決まってるじゃない。


「では何が不満なんじゃ?」


「不満…と言いますか…私はただ、しきたりに従って子供を作るということが…おかしいと…思っただけです…」


最後は会長の顔を真っ直ぐ見ることができなかった。


きっとこの人には
あたしの気持ちなんて分かりっこない。


「会長。私はまだ親にはなれません。有栖川の人間としてこれから学ばなければならないことがたくさんあるからです」


「子供なんぞ生まれてしまえば何とでもなる。光姫さんでなくとも、他の人間が代わりに面倒を見ればよい」



……他の人間?


この人…何言ってるの?



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