鬼の花嫁
「美鈴~、井戸から水汲んできて!」
「はーい」
母に頼まれ村の井戸の水を汲みに行った。
カラン・・・・・・・ぽちゃん
桶を下ろしたらしばらくしてから水の音がした。
やっぱり井戸の水も少なくなってる・・・
このまま雨が降らなかったら深刻な水不足になりそう
『鬼の花嫁』
一瞬頭をよぎった言葉。
この村で一番きれいな人って言ったら
佐久助殿の妻、お菊殿だろう。
・・・まぁ、鬼なんていないだろうけど。
さっさと水を汲んで戻ろう。
桶を引き上げるのに結構時間がかかり
いざ帰ろうとしたら、もう日が山に
隠れようとしているところだった。
空が血のような赤で染まっている・・・。
カァカァ・・・・
なんとなくカラスの鳴く声が不気味だった
早く帰ろう
急ぎ足で家に向かった。