俺たちの反抗
「お礼はいらねえよ。俺は自分の為にやるんだ」

クボタはそう言った。

みんなグラスは空なのに、誰もドリンクバーに注ぎに行かない。

動けないのだ。

「斉藤、俺はな、お前がくるまで何もできなかったんだ。教師に頭下げて、ムカツクこと言われても、我慢してた。そうしなきゃ学校にはいられないと思ってた。でもお前はそれを全部変えやがった。俺はショックだったぜ。お前が担任を黙らせ、学校を変えたのは」

斉藤は何も言わない。

ただ、クボタに頭を下げていた。

「協力させてくれ。俺は不良を貫きたい。お前がくるまで負け犬だった。俺は男としてお前に協力したい」

クボタはそう言って、斉藤に手を差し出した。

斉藤とクボタは握手をした。

お互いの手に力が入っている気がした。

俺は自然に笑顔になっていた。
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