クール王子


丁度そんな時、突然セシルに婚約の話が舞い上がった。


それは隣の国『ソウル国』王との婚約。


この婚約でここセシルの国『トゥラン国』と『ソウル国』を一つに合併しようとしていたのだ。



それは両国にとってとてもいい話だった。



しかしセシルは度々会うレジスの事が気になって

快く婚約を受け入れられないでいた。


そのとき、ようやくレジスを好きだと自覚したのだ。

しかしこれも両親やこの国のため。

仕方無くソウル国に嫁ぐ事にしたセシル。




ソウル国の城に着いてまず目に入ったのはバラの咲き乱れた中庭だった。



セシルは誘導してくれる使用人に少しだけ、と言って中庭に寄らせてもらった。


ただただ綺麗に咲き乱れる真っ赤なバラに目を奪われていた。

この時だけは、何も考えないでいられる。
レジスの事も……
今から会いに行くソウル国王の事も…。


ただ目の前のバラだけを目にしていた。


するとー――



「…なにをしている?」


「……ッ!」


まるで夢でも見ているのかと思った。


気がかりでしょうがなくて、


たったつい最近
好きだと気付いた相手、レジスが微笑んでセシルに問い掛けてきたのだから。



まさかレジスがソウル国の王だったなんて…



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