クール王子


―――――――――


それからすぐにレジスと婚約して今に至っている訳だ。



「あの頃のレジスはもっと優しかったのにな…」


確かに執務や仕事で忙しくてもちゃんとセシルのために時間をとってくれたりしていた。


ポツリと呟いてセシルは乾いた笑いを溢した。


だけどしょうがないのかもしれない。


婚約してもう6年がたつのだ。
いつまでも新婚のあの時のままじゃいられない。


それに仲が悪い訳ではない、
ただ…セシル一人が寂しいと思っているだけなのだ。


セシルは大きなため息をこぼすと


「タスク、ありがとう。もぅ戻ろうかな。」


タスクを連れ、来た道を戻った。



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