君のとなり。

「・・・・あ、の・・・」

明日香が小さく言うと、英介は


「━・・・!!ごっ、ごめん・・!!」


真っ赤な顔で、バッと明日香を離した。

  「うわ・・いきなりごめん・・・」

口元をテレて隠す英介に、明日香は
後ろめたい気持ちになった。

  「・・・・伊東君、あの・・・・」



自然と、私の鼓動は高鳴っていた。
告白の返事だなんて、初めてだし・・。
・・・・・でも。


    「・・・・ごめんなさい」



      「・・・・・」

英介は黙って、気マズそうに笑った。

「あのね、私伊東君のことよく
 しらないし、今はなんか・・・

 気持ちの整理、できてない・・」


・・それは、祐人のせいかな・・・


英介は珍しく悔しそうに言った。

「あー、わかった!!さっきのは、
 ・・・・忘れて?」

「・・で、でも・・っ」

明日香の言葉をさえぎり、英介は
明日香の唇に人差し指をあてた。

「・・いいから。忘れなサイ。
 君にもっと近づけた時、何度でも
 ・・・・言うから」

    「・・・・っ」

明日香がうつむくと、英介は笑った。

「俺が勝手に君を好きでいるだけ。
 気負いすることはないからね?」

「うん・・・」


「よし。授業始まっちゃってるけど、
 途中まで一緒に行こう」

「・・・・」

黙ってうなずいた私に、伊東君は
優しく笑ってくれた。


・・昔の私なら、即OKだっただろうな。
でも伊東君といて、ドキドキしても、


・・・ココロがあったかくならない。


  ・・祐人じゃなきゃ、ダメなんだ・・


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