愛ノアイサツ
「今日は妙にいい音が出てるな。なにかあったのか?」
いつの間にか防音室に入ってきていた白木さんが顎をなでながら興味深げに話してきた。
「別に何も・・・もう事務所のほうには行ったんですか?」
「あぁ。プロデューサーの機嫌だいぶよかったぞ。コンサートもかなり好評だったし、次のソロコンはいつだって問い合わせが殺到してるらしい。」
「そうですか。」
「相変わらず淡白だな。少しは喜べよ。その若さでこれだけこの世界で認められるなんてなかなかできることじゃないぜ?」
大げさなリアクションでそう言うが、僕自身は別にそんなことを望んでいたわけでもない。
「ありがとうございます。」
「全く。お前そういえばもう25になるんだろ?事務所の連中が誕生会とか企画してたぞ。」
「適当に断っといてください。」
「そういうと思って遠まわしに断っといたよ。当日はゲスト演奏で呼ばれてるしな。」
そういって壁に寄りかかると携帯の着信音が鳴った。白木さんは携帯を取り出してディスプレイを見ると慌てて防音室を出て行った。それを見送って再びヴァイオリンを顎に挟むと、目の前の楽譜を無視して遠い昔に弾いたあの曲を弾き始めた。
いつの間にか防音室に入ってきていた白木さんが顎をなでながら興味深げに話してきた。
「別に何も・・・もう事務所のほうには行ったんですか?」
「あぁ。プロデューサーの機嫌だいぶよかったぞ。コンサートもかなり好評だったし、次のソロコンはいつだって問い合わせが殺到してるらしい。」
「そうですか。」
「相変わらず淡白だな。少しは喜べよ。その若さでこれだけこの世界で認められるなんてなかなかできることじゃないぜ?」
大げさなリアクションでそう言うが、僕自身は別にそんなことを望んでいたわけでもない。
「ありがとうございます。」
「全く。お前そういえばもう25になるんだろ?事務所の連中が誕生会とか企画してたぞ。」
「適当に断っといてください。」
「そういうと思って遠まわしに断っといたよ。当日はゲスト演奏で呼ばれてるしな。」
そういって壁に寄りかかると携帯の着信音が鳴った。白木さんは携帯を取り出してディスプレイを見ると慌てて防音室を出て行った。それを見送って再びヴァイオリンを顎に挟むと、目の前の楽譜を無視して遠い昔に弾いたあの曲を弾き始めた。