愛ノアイサツ
雪乃の後ろについてエレベーターに乗り込む。8階について少し廊下を歩いたところで「早瀬雪乃」とネームプレートの貼られた病室のドアの前に立った。

「あの、あんまりきれいにしてないんですけど・・・」

そういって僕を病室の中に入れてくれた。真っ白な部屋にはベッドと備え付けの机、椅子がひとつ。机の上にはウォークマンと僕の灰色のパーカーがたたんで置いてあった。更にたくさんのクマやイヌのぬいぐるみが飾られている。女の子の部屋だな、なんてまるで中学生に戻ったみたいな感想に自嘲しつつ、緊張している自分がいた。

「あの、ペットボトルのお茶ならあるんですけど。」

「あ、いいよ。喉渇いてないから。」

うそだ。本当は緊張でからからだった。でもここは大人として控えめに徹することにした。

「そうですか。あ、どうぞかけてください。」

僕は雪乃の出してくれた椅子に腰掛け、その少し斜めの位置のベッドにちょこんと雪乃がかけた。

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