お姫様と7人の王子様


「縲……」


ポツリと出てきた台詞。
そう一言言うと彼はにかっと笑った。


「じゃあルイが何を願いたいの?」


そう尋ねる彼の瞳は真剣に私を見つめていて、私は色々考えてみる。
私が願う事。


だけど……


「見つからない」


最初帰りたいと思っていてたのだが、今はそんな考えも思い浮かばない。
帰りたくないと言うわけでもないが、ただここにも前の世界と同じくらい大事な物を見つけたという事なのだろう。


「じゃあ、俺が願い事考えてあげるよ」
「はぁ……?」


真剣な表情がいつもの厭らしい笑みに変わると、私に近付いてきた。
それから、私の耳元へ唇を近づける。

顔が近い。


彼の息遣いが聞こえて来るほどの距離。
ぞくりとした妙な感覚が支配する。


“チェシャさんが私の事を好きになってくれますように”


甘ったるい声でゆっくりと呟くチェシャ。
そのセクシーな声のせいで、少しドキッとしてしまった。




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