お姫様と7人の王子様
「どうしたんですか?」
眩しすぎて、前が見えない。
それでも薄めで目の前の彼を見るといつものようにふわりと笑っていた。
「その……寝付けなくて」
怖くて目が覚めたと言うのが、恥ずかしくて、視線を外しながら答えると、ビルさんは優しい声色でそうですかと言った。
「だから、水でも飲もうかなと思いまして」
何かしている邪魔をしたかもしれない。そう感じてしまい遠慮がちになってしまう。
おずおずと申し訳なく言うと、彼は微笑みながら、ちょっと待っていて下さい。ルイ様の分も用意いたします。と続けた。
「ファジー・オランゲです」
そう渡されたのは、紅茶だった。
ほのかに柑橘系のようなにおいがする。
「?」
聞いたことのない飲物が気になり、ビルさんを見ると、ビルさんは微笑みながら、紅茶の一種ですと微笑んだ。
「気分が落ち着きますよ」
そうクスリとほほ笑みながら言うと、自分の目の前にある、お茶を飲む。
それに続いて、ごくりと飲んでみると、ピーチティの味がする、そして後からほのかに広がるオレンジ……。
「おいしい」
今まで飲んだ事がない不思議な味だったが、今までの不安が取り除かれる、そんんな優しい味が心の中にひろがった。