今日から執事


突然優しい声音になったものだから、早綺は何だと不安になる。


『それでいいのよ。
あたしの言葉で決意を揺らがせる奴になんて情報は与えないわ。
その点、早綺は合格ね』

「試したのね!」

『試したんじゃないわよ。これはれっきとした試験よ。入社試験だとでも思ってやりきればいいの』


あっけらかんとして言うアンに早綺は生気を吸い取られた気がした。
早綺はまだ高校生なのだから入社試験などまだまだ先だという反論はこの際置いておこう。


『で、ターゲットは誰なの?』

「あっごめん。桐谷真斗っていう日本の高校生なんだけど」

『ふーん。桐谷真斗、ね。当然男よね』

「そうだけど」


何か不都合でもあるのだろうか?


アンは何度も桐谷真斗と名前を転がし、それから一人納得したように『あっ』と呟いた。




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