今日から執事
『もしかしてこの子、早綺のボーイフレンド?』
「はっ?」
思いの外間抜けな声が出てしまった。
けれどアンにはその間抜けな声を、真実を言われた故の動揺ととらえてしまったようで電話の向こうで驚愕の声をあげている。
「違う、違うから」
『そう?つまらないわね』
「え」
早綺が必死で弁解すると、意外なほどあっさりと認めた。
それが不思議で早綺は再び間抜けな声をあげることとなった。
『詳しいことはパソコンに送ってもらえる?
さすがのあたしも名前だけでは大した情報は得られないわ』
「分かった。出来るだけ早く送るね」
『そうして。じゃあこれで切るわよ。あたしはこれでも社会人なんだから、仕事もあるのよ』
ありがとうと返すと、水臭いわねと返された。
どんなにきつい言葉を口にしようと、やはりアンは優しい。
真斗について深く追求しないこともアンの気遣いだと早綺は知っている。
『早綺とまた話せてよかったわ』
「私も嬉しいよ」
そう言い合って電話を切った。