捨て猫
「さ、食ーべよっ」
先輩はそう言って、手に持っていたビニール袋からコンビニの焼きそばパンを出した。
「えっ、まさかそれだけ!?」
「そうだけど」
先輩は袋を開けてパンを取り出す。
「あたしはがっつり、弁当なのに…
もしかして、いつもそれだけなの?」
「そうだよ」
先輩は一口パンを食べる。

「いつもコンビニのじゃ、体に悪いよ…
…それに、男だし食べ盛りだし、それだけじゃ足りないでしょ!?」
「んなこと言ったって、母親は弁当作んねぇし、自分でも作れねぇし、毎日何種類も買うと高いし…」
「そんなぁ…」
「それか、その弁当ちょっとくれるっていうんなら別だけどさ」
「あげるよ、こんなのいくらでもっ」
あたしはサンドイッチを差し出した。
< 68 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop